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    プロフィール
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    三浦 真司
    Webサイト:
    性別:
    男性
    職業:
    楽習堂塾長
    自己紹介:
    岐阜県羽島郡笠松町の学習塾の経営者です。
    【出身高校】
    岐阜県立岐阜高等学校
    【出身大学】
    慶應義塾大学経済学部
    P R

    2020センター数学ⅡBの簡略な解説

    前回の2020年大学入試センター試験「数学I・数学A」の解説に続いて、今回は2020年大学入試センター試験「数学Ⅱ・数学B」の解説を行います。

    問題と回答は様々なメディアで公開されていますが、ここでは地元の中日新聞のセンター速報サイトを紹介しておきます。https://edu.chunichi.co.jp/pages/center2020/

    問題をみながら、以下の解説を読んで下さい。

    【第5問】(確率分布と統計的推測)の問題は、普通の高校生が取らないので、解説を割愛させて頂きます。



    【記号に関する注意】
    ブログでは、本来の数学の表現法を十分に記入できません。なので、本来的なものとは異なる表現を用います。

    ※x^y…「xのy乗」という意味。
    ※∫[a,b]f(x)dx…「f(x)のx=aからx=bまでの定積分」という意味。
    ※a_k…kは数列aの添え字のつもり。
    ※Σ{a_k}[k=1,n-1]…「a_kのk=1からk=nまでの和」という意味。
    ※ABv…「ベクトルAB」という意味。



    【第1問】(三角関数、指数・対数関数)

    〔1〕の三角関数の問題は、不等式の解法や三角関数の合成の仕方を知っていれば、容易なのではないでしょうか。

    最後のθの範囲を求める問題は、sinθ=4/5を導いてから、π/4やπ/3あたりのsinの値と比較してみましょう。分数や平方根の大小関係の比較ができれば、1/√2<4/5<√3/2であることがわかるので、 
      sin(π/4)<sinθ<sin(π/3)
    となります。0≦θ≦π/2でsinは単調増加するので、π/4<θ<π/3であることがわかります。

    もちろん、cosθ=3/5を使って比較してもいいですよ。但し、cosは単調減少になる点だけ注意しましょう。

    〔2〕の(1)の指数関数の問題は、t^(1/3)=kとおいて、2乗や3乗の展開公式や因数分解の公式を駆使すれば、解ける問題ですね。

    〔2〕の(2)の対数関数の問題は、2X+Y≦10と3X-Y≧-4を導くところまでは、真数部分の積や商を和や差に直す公式を使えば、容易いはずです。

    これらの不等式から、
      (Y-4)/3≦X≦(10-Y)/2…①
    という関係を導き、最左辺と最右辺を比較するYの不等式を解くことで、
      Y≦38/5=7.6
    が導かれるので、Yの取り得る最大の整数値は7とわかります(.6まで計算する必要もないけど)。

    更に、Y=7を①に代入すれば、1≦X≦3/2です。これを導けたからといって、
    「最後の答えは、x=1だ!(^.^)」
    とか答えないで下さいよ…(*_*;

    大文字と小文字の違いにしっかり注意しましょう。大文字のXの条件を、小文字のxの条件に直す必要があります。小文字の条件に直すと、3≦x≦3√3=√27なので、xの最大整数値は√25=5となります。



    【第2問】(微分法、積分法)

    (1)の接線の方程式を求める問題は、かなり誘導があります。「同じ直線を表す⇒係数比較」に気づければ、容易いと思います。

    (2)の交点のx座標を求める問題は、単に連立方程式を解けばいいだけですが、ここでx=aという座標を出すことに失敗してしまうと、その後がどうにもならなくなります…(*_*;

    次の求積問題は、先の問題でCとℓの接点のx座標が0であることがわかっていれば、
      S=∫[0,a]{(Cの式)-(ℓの式)}dx
    を計算するだけです。ℓとx=0とx=aで囲まれた部分は、台形の面積公式を使って導く手もありますが、(Cの式)-(ℓの式)=x^2という簡単な式になるので、余計な手間をかけるだけになってしまうでしょうね…(^^;

    (3)の問題が、ここの大問の成否を分けるのではないでしょうか。ここで、CとDの交点のx座標がx=aであるということが重要になってきます。

    0≦x≦1区間のCとDとℓで囲まれた面積Tを求めるわけですが、a>1だと、区間の右端よりCとDの交点がずっと右に行ってくれます。なので、Tの上側の境界線は常にCです(Dはもっと上にある)。その結果、Tの面積計算にDが全く関与しなくなります。x=0でCとℓが接することも考慮すると、Cとℓとx=1の囲む面積を求めれば十分になるわけです。

    ところで、Cとℓとx=aの囲む面積は、(2)で求めています。この問題のaを1に変えるだけで、Cとℓとx=1の囲む面積は出せてしまうわけです。本来的にはaと1は別の数字なのですが、面積の求め方が同じになってしまうので、(2)の結果を利用しちゃうのがお利口なんです。ある意味、反則技だけど…(^^;

    ってことで、(2)の問題で求めたS=a^3/3にa=1を代入した1/3が、a>1の場合のTの値です。

    次の1/2≦a≦1の場合は、色々と考えないといけません。まず、a≦1なので、0≦x≦1区間の中にCとDの交点のx座標が入り込んでしまいます。そのため、0≦x≦a区間ではTの上側の境界線はCですが、x≧a区間ではTの上側の境界線はDになります。x=aを境にして、計算の仕方を変える必要が出てくるわけです。

    しかし、0≦x≦a区間の計算は、既に終わっています。これは、(2)で求めたSに他ならないからです。なので、新たに考える必要が出てくるのは、x≧a区間の面積計算です。

    x≧a区間の左端は当然x=aですが、右端はどこでしょう?Tは0≦x≦1区間の面積を求めるのですから、右端はx=1と考えるのは早計です。なぜかというと、Dとℓの接点のx座標(これは、x=2aであることを前の問題で求めている)が1より左側にある場合、この接点のところでTの領域が閉じてしまうため、右端はx=2aということになるからです。

    ところが、この可能性はありません。それは「a≧1/2とする」という条件が与えられているからです。この条件は2a≧1であることと同値ですが、これは「Dとℓの接点のx座標x=2aは、Tの区間の右端x=1よりも左側に来ることはない」ということを意味しているわけです。なので、Tの右端は、やはりx=1なんです。

    これで、Dとℓに囲まれたx≧a区間の面積計算は、a≦x≦1の間で考えればよいということがわかります。Tのうちの0≦x≦a区間の面積はSに等しかったわけですから、a≦x≦1区間の面積はT-Sと表せるので、
      T-S=∫[a,1]{(Dの式)-(ℓの式)}dx
    で計算できます。これで、Tが求まりますね。

    最後のUの最大値を求める問題は、まず先の問題で求めたSやTを代入すれば、Uがaの3次関数として表現できます。ここで、dU/da=0とすると、a=2/5とa=2/3が得られます。U(a)の3次の項は負なので、a=2/5の方で極小値、a=2/3の方で極大値を取ります。2/5<1/2<2/3<1なので、1/2≦x≦1の範囲のUの最大値はa=2/3の場合であることがわかります。



    【第3問】(数列)

    最初の部分を読んで、
    「なんやねん、このワケのわからん漸化式は…(;´Д`)」
    と焦ってしまうと、全く解けなくなってしまう可能性があります。しかし丁寧に誘導してくれるので、その誘導をしっかり把握することが大切です。

    まず、a_2やb_1の数値は、与えられたa_(n+1)やb_nの式に、予め与えられているa_1=0という条件とn=1を代入してしまえば求められます。b_(n+1)は、問題の指示を踏まえて計算するだけです。ここからb_(n+1)-b_nを導く際に、部分分数分解の知識が必要になります。

    次のΣを求める2つの問題は、それぞれ部分分数の和と等比数列の和を求めればよいわけですが、通常のΣ計算のようなk=1からk=nまでの和ではなく、k=1からk=n-1までの和であることに要注意です。特に等比数列の方は、初項がなんであるかにも気を付けましょう。

    Σ{b_(k+1)-b_k}[k=1,n-1]=b_n-b_1であり、更にb_1=0であることは前に導いているので、求めさせられた1番目のΣから2番目のΣを引いたものが、b_nに他ならないわけですね。これを計算して整理することが求められています。求めた後で、問題で言われている通りn=1でも成り立つのかどうかを確かめてみると、検算にもなります。

    b_nが正しく出せれば、与えられているa_nとb_nの関係式から、a_nを求めることができます。

    次の3で割った余りを出す問題。求めたa_nの一般式は、
      a_n={3^(n-1)}(n^2-4)+(n+1)(n+2)/2
    となっています。{3^(n-1)}(n^2-4)は3の倍数になっているので、余りが出るとしたら(n+1)(n+2)/2の部分から出てくることに気づきたいですね。なので、この部分を3で割った余りを確かめれば十分です。

    この部分にn=3k,3k+1,3k+2をそれぞれ代入してみると、
      (3k+1)(3k+2)/2=3(k^2+k)+3k(k+1)/2+1
      (3k+2)(3k+3)/2=3(k^2+2k+1)+3k(k+1)/2
      (3k+3)(3k+4)/2=3(k^2+3k+2)+3k(k+1)/2
    になっています。それぞれの第一項は3×(整数)の形になっているので、3の倍数です。第2項は全て3k(k+1)/2ですが、kとk+1が連続する整数なのでどちらかが偶数です。なので、分母の2は必ず約分して消去できるため、3×(整数)つまり3の倍数になります。となると、残った部分が余りなんですね。なので、余りはそれぞれ1,0,0です。

    …記述式の試験ならこういう風に答えるべきですが、マーク式の試験で答えを出すときはもっと楽な方法を選んだ方がいいです。kがどんな整数でも余りは同じになるはずですから、k=0を代入しちゃいましょう。すると、
      (3k+1)(3k+2)/2=2/2=1
      (3k+2)(3k+3)/2=6/2=3
      (3k+3)(3k+4)/2=12/2=6
    となるので、答えわかっちゃいます。(^^♪

    最後の和を3で割った余りの問題。{a_n}の和を取った時、3の倍数の項は割り切れるに決まっているので、余りの和を計算すれば十分です。{a_n}の3の倍数番目の項の余りは1、それ以外の項の余りは0でしたから、1から2020までの余りの和は、1から2020までに含まれている3の倍数の個数に一致するわけです。2020を3で割れば、その個数は計算できるわけで、673だとわかります。それを更に3で割ると、余りが1になることがわかります。



    【第4問】(空間ベクトル)

    (3)のCBvを求めるところまでは、ベタに計算する以外の道はないんじゃないでしょうか?垂直なら内積0であることは必須知識です。

    ここまでの計算結果と与えられた条件から、
      OAv=(3, 3, -6)
      CBv=(2, 2, -4)
    になっているので、
      CBv=(2/3)OAv
    であることがわかります。よってOAとBCは平行です。

    ABとOCの位置関係を確かめるためには、ABvとOCvを導いてしまうのがよいでしょうか?
      ABv=(-1+2√3, -1-2√3, 2)
      OCv=(2√3, -2√3, 0)
    になっています。OCvのz成分が0でABvのz成分が0ではありませんから、OCvを何倍したところでABvと等しくなりません。なので、ABとOCは平行にはなりません。

    以上から、四角形OABCは一組のみの対辺が平行なので、台形になることがわかります。

    台形OABCのBCを上底、OAを下底と捉えた場合、OA⊥OCという条件から、OCが高さに相当します。OAとOCの長さは先の問題で計算済みですので、台形OABCの面積計算に必要になるのは、BCの長さを残すだけです。CBvの計算結果からベタに絶対値を求めるのは、効率悪いです。CBv=(2/3)OAvなので、BCの長さはOAの長さの2/3倍であることに気づきたいです。OA、BC、OCの長さが求まったら、台形の面積公式を適用しましょう。

    点Dの座標を求めるときは、z座標が1と決まっているので、
      ODv=(p, q, 1)
    とおいて、内積条件に変換したOAとODの垂直条件と、OCとODの内積条件から、pとqの連立方程式を立て、それを解くという形が一番早いんじゃないかと思います。

    求めたODvからその絶対値を求めると、|ODv|=2であることがわかります。OCv・ODv=2√6は与えられており、|OCv|=2√6も先に求めているので、ベクトルの絶対値及び内積と余弦の関係式から、
      cos∠COD=OCv・ODv/(|OCv|・|ODv|)
      =2√6/(2√6・2)=1/2
    となるので、∠COD=60°とわかります。

    四面体の高さを出す問題。Dから平面αに引いた垂線の足をHとおいてみると、DHが求める高さということになります。ここで「αとβは垂直であるので」という記述が大きな手掛かりを与えてくれています。

    βはDを含んでいるので、Dからαに引いた垂線DHは、αと垂直な平面βに含まれています。すると、Hはαにもβにも含まれているわけですから、αとβという二つの平面の交線上にHは位置しています。ところで、OとCもαとβの両方に含まれているわけですから、αとβの交線とは直線OCのことに他なりません。つまり、Hは直線OC上の点なんです。

    更に、DH⊥αで、OCがα上の直線であることを考慮すると、DH⊥OCです。すると、△DOHは∠DHO=90°の直角三角形になります。しかも、HがOC上にあるので、∠HOD=∠COD=60°です。なので、△DOHは30°、60°、90°の直角三角形になります。斜辺に当たるODの長さは2であることを求めていれば、直角三角形の辺の比から、DH=√3であることが導けます。

    四面体DABCの高さが求められたので、体積計算に必要になるのは、底面ABCの面積だけです。△OACがOA⊥OCの直角三角形でOAやOCの長さは先に求めさせられており、更に台形OABCの面積を先に求めさせられていますから、
      △ABC=(台形OABC-△OAC)
    で計算するのが早いんじゃないかと思いますね。

    【追記:最初はそう思ってたんですが、よく考えたら、BCの長さは台形の面積計算の時に出してますし、それを底辺とした場合の高さOCの長さも先に導いていますから、
      △ABC=BC×OC/2
    で計算した方が早いですね。なぜか気づきませんでした…(^^;】

    後は、すいの体積公式を使えばよいということになります。



    以上でしたー。

    今年の受験生はもう悔やんでも仕方がないので、2次や私立の試験に集中していきましょう。

    来年以降の受験生は、センター試験から大学共通テストへの変更が予定されています。どう変わるのかまだよくわからないので、対策が難しいですね。ただ、記述式試験の導入は見送られて、共通テストもセンター試験と同じマーク式ということになりました。なので、共通テストもセンターにある程度似た問題にはなるだろうとは思うので、その対策は、取りあえず今までのセンター対策でよいのではないかと思います。センター過去問の訓練も行っておくのが大切ではないかと思う次第です。

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    2020センター数学ⅠAの簡略な解説

    2020年の大学入試センター試験が終了しました。受験生の皆さん、お疲れ様でした。<(_ _)>

    楽習堂では高校生は数学中心に教えていて、僕も「数学I・数学A」と「数学Ⅱ・数学B」の問題は解いてみました。詳細な解説を書いている時間はないんですが、簡略な解説ならできますので、参考にしてみて下さい。

    両方を一度にやると膨大になるので、今回はまず「数学I・数学A」の方を解説します。問題と解答は様々なメディアで公開されていますが、ここでは地元の中日新聞のセンター速報サイトを紹介しておきます。https://edu.chunichi.co.jp/pages/center2020/

    問題をみながら、以下の解説を読んで下さい。



    【記号に関する注意】
    ブログでは、本来の数学の表現法を十分に記入できません。なので、本来的なものとは異なる表現を用います。

    ※x^y…「xのy乗」という意味。



    【第1問】(2次不等式、集合、2次関数)
    総じて、簡単な問題が多いという印象を受けました。

    〔2〕の集合の、自然数12がどういう命題の反例になるかという問題は珍しい出題かもしれませんが、出題の意味さえわかれば、そんなに煩雑な思考をする必要はありません。

    〔3〕の2次関数も全般的に平易なんですが、線分と共有点を持つようなcの値の範囲を求める問題は、下手なことを考えると時間を取られるかも…与えられた2次関数をf(x)とおいて、
      -3≦f(3)≦0
    という不等式を立てると、cに関する2次不等式が2つ得られるので、それらの共通範囲を出すという問題なんですけどね。

    しかしここで「判別式ガー」とか「軸の方程式ガー」なんて考えちゃったら、ムダな時間取られますよ…(*_*;

    それは、線分がヨコに引いてある場合に考えること。ここは線分がタテに引いてあるという条件なので、じぇんじぇん的外れになってしまいます…(^^;



    【第2問】(三角比、資料)

    〔1〕の三角比の問題。

    BDの長さは△BCDに余弦定理を適用するだけです。

    sin∠ADCの値は、
    ①余弦定理を用いて、cos∠BDCを求める。
    ②sin^2+cos^2=1を利用して、sin∠BDCを求める。
    ③sin∠BDC=sin(180°-∠BDC)=sin∠ADC。
    の手順で導くことができます。

    AC/ADの値は、角の二等分線の特徴よりAC:AD=BC:BDであることから、AC/AD=BC/BDになるので、BCとBDの値を代入すればいいですね。

    ADの長さは、これを利用します。AD=xとおくと、先の問題からAC=√2x。CD=√2は問題で与えられています。更に、∠BCD=∠ACDなので、cos∠ACD=3/4も与えられているに等しいわけです。これらの値を△ACDにおける余弦定理に代入すると、xの2次方程式が得られます。x>0に注意してこの方程式を解くことで、答えは導けます。

    △ABCの外接円の半径は、
    ①先の問題の結果として、AC=√2が得られる。
    ②CD=√2でもあるので、△ACDはAC=CDの二等辺三角形になる。
    ③∠ADC=∠DACになるので、sin∠DAC=sin∠ADC=√14/4とわかる(前の問題で求めている)。
    ④正弦定理より、R=BC/2sin∠DAC。
    という手順を踏んで求められます。

    もっとも、数学ⅡBで習う倍角の公式を知っていたら、
    sin∠ACD=2sin∠BDCcos∠BDC
    を計算して、正弦定理に持ち込む方法もありますけどね。僕が真っ先に思いついたのは、こっちの方法でした…(^^;


    〔2〕の資料の問題。

    (1)は、特に②や④を間違って選んでしまう人が多いかもしれませんねー。てか、僕もひっかかりましたー…(^^;

    ②「99個のデータがあって、中央値より小さいデータは49個ある」
    一見正しそうな気がしますもんねー。でも、中央値を取るデータが1つなら正しいんですが、複数あると正しくなくなっちゃうんですねー…(*_*;

    ④「99個のデータがあって、第一四分位数より小さいデータと第三四分位数より大きいデータを取り除くと、残りは51個」
    ②と同じような理由で、アウトなんです…

    (2)と(3)は基本的な問題ですが、(4)で戸惑った人が多かったかもしれません。なんのために、散布図の中に傾き1の直線が書いてあるか理解できると、簡単なんですけどね。

    男女の平均寿命の差を表すヒストグラムを求めるわけですが、散布図の縦軸(y軸とみなす)が女、横軸(x軸とみなす)が男の平均寿命を表しているので、y-x=kとした場合のkの値がポイントなんですが、これはy=x+kとも表せます。これって、傾き1の直線ですよね。つまり、散布図上の直線は、y=x+kの直線をkの値を変えて書いてあるということです。y=x+k上にある点は「平均寿命の差がkであるものの集合」を表してるんですよ。

    具体的なkの値はというと、実は問題に「切片が5.5から7.5まで0.5刻みで…」とわざわざ書いてくれてます。これを読み落としても、kが男女差だということに気づければ、与えられた散布図の原点に相当する場所の女85.5歳から男のx切片の年齢をそれぞれ引けば、すぐに出せます。

    そう考えると、1番右下の直線と2番目の直線の間に含まれているデータは、x+5.5≦y≦x+6.0の範囲に含まれていますが、これは「平均寿命の差が5.5から6.0までの範囲にあるデータ」を意味してるんですね。散布図を見ると、この個数は9個であることがわかります。ヒストグラムで5.5から6.0までの範囲に9個あるのは③しかありませんね。これだけで正解確定です。

    もっとも、7.0から7.5の範囲に含まれているデータは散布図より3個しかなく、ヒストグラムで7.0から7.5までの範囲に3個あるのも③しかないので、こっちに気づく方が数えるのは早いです。(^^♪



    【第3問】(場合の数と確率)

    〔1〕の正しい記述を選ぶ問題。⓪と②を素直に計算すると正しいので、それらを素直に選べば正解するんですが、①と③が正しくない理由はどこにあるんでしょう?

    ①の不適切性は明らかですね。確率の分母には全ての可能性の数でなければならないのですが、球が全部で8個あるのに、試行を5回繰り返しただけでは、全ての可能性を網羅できていませんよね。だから、分母を5にするのは不適切です。

    ③はかなり考えさせられます。2体のロボットが発言するのですが、まず1体目のロボットが「オモテ」と発言した段階で、0.9の確率で実際に表が出ています。0.1で正しくない可能性がある場合、2体目のロボットに真偽を委ねると0.9の割合で実際に表が出ています。なので、実際に表が出ている確率pは、
      p=0.9+0.1×0.9=0.99
    従って、p≦0.9は不適切である…と考えてるんだろうと思います。たぶん。

    ただここには、1体が正しい発言をして、もう1体正しくない発言をしている場合、正しく発言している可能性を優先するという考え方が、暗黙の前提として入っているように思います。しかしこの前提は絶対に正しいと言えるんでしょうか?正しくない偽の発言をしている可能性を優先すれば、p=0.9×0.9=0.81になるので、p≦0.9は妥当になるはずです。

    この問題に限りませんが、確率は解釈次第で色々な数値が正当化できたりします。論争になったりすることもありますね。これも、解釈次第でどうにでもなる問題であるような気がします。僕としては、こうした確率の解釈問題に触れるような問題を、入試で出して欲しくはないんですけどね…(~_~;)


    〔2〕のコイン投げの問題。

    (1)と(2)は、素直に解けばよいだけの問題ですが、(3)はひっかかりやすいかもしれません。
    ①表がx回出るとすると、裏は5-x回出るので、この場合の点数は2x-(5-x)=3x-5と表される。
    ②終了時点で4点になる場合、3x-5=4、つまりx=3になる。
    ③全ての場合の数は2^5=32通り、表が3回、裏が2回出る場合の数は5!/(3!2!)=10通りなので、答えは10/32=5/16だっ!

    …ってところで終わってしまうと、間違えてしまいます…(*_*;

    途中で持ち点が0点になって、5回コインを投げる前に終了してしまう可能性を考慮してないからですね。(2)で3回投げると持ち点が0になる場合について考えさせているのが、(3)のヒントにもなってるわけです。3回投げて表1回、裏2回出て持ち点が0になる可能性が3通りあり、それぞれの場合でコイン投げを続けたと仮定して、更に表が2回出れば、表3回裏2回になります。しかし、これは持ち点4にならないので、③で求めた場合の数からこの可能性を引かないといけません。

    持ち点4になるのは10-3=7通り。よって、答えは7/32なんですね。

    (4)の条件付き確率は、通常教えられる定義通りに確率の割り算で出すこともできますが、場合の数で出してもいいでしょう。2回投げ終わって持ち点1になるのが表1回、裏1回で2通り。次に裏が出ると持ち点0で終わってしまうので、必ず表が出る必要があり、3回投げ終わって2通り。残りの2回で表1回裏1回出る必要があるので、それぞれに2通りあり得ます。結局、2回投げ終わって持ち点1で最後に持ち点4になっている場合の数は、2×2=4通りあるわけです。

    持ち点4になる場合は、(3)で全7通りと求められているので、4/7という答えが導けます。



    【第4問】(整数の性質)

    (1)のxの値や(2)の冒頭のyの式を求める問題は、循環小数とn進法の基本が理解できていれば容易な問題だと思います。それ以降で出来の差が大きく生じてくるのではないでしょうか。

    (2)の(ⅰ)で、分子が奇数、分母が4である分数を求める問題ですが、y=(96+7a+b)/48が出せていれば、これを約分して分母が4になってくれるためには、分子の96+7a+b=12kと表される必要があります。約分してy=k/4が答えるべき数値です。ただし、分子が奇数という条件から、kが奇数である必要がある点に注意して下さい。

    この式を変形すると、
      7a+b=12(k-8)
    となります。kが奇数でaやbが非負という条件を考慮すると、k-8は正の奇数である必要があります。後は、場合分けして考えていきましょう。

    k-8=1つまりk=9になるとき、y=9/4です。解答を求められてはいませんが、この場合7a+b=12となるので、(a,b)=(1,5)によって構成できて、aやbの条件を満たします。

    k-8=3つまりk=11になるとき、y=11/4です。こっちの方は、更なる解答を求められています。この場合7a+b=12×3=36となるので、(a,b)=(5,1)によって構成できて、やはりaやbの条件を満たします。

    k-8≧5つまりk≧13の場合は、一件良さそうに見えますが、実のところは不適となります。この場合7a+b≧12×5=60となるのですが、60以上にするためにはa≧8にする必要があるため、0≦a≦6という前提では構成できなくなってしまうからです。

    (2)の(ⅱ)は、先に求めたyの式から、y-2=(7a+b)/48をまず導きましょう。分子が1で分母が2以上になるためには、7a+bが48の約数になってくれればいいわけです。ただし、48に等しくなってしまうと、分母も1になるので除外します。そうすると、
      7a+b=1,2,3,4,6,8,12,16,24
    が考えられるので、全部で9個!(>_<)

    …って答えると、間違いになっちゃうんですねー…(*_*;

    なぜかというと「aとbは異なる整数である」という条件が問題に書かれているからですよ…わざわざ太字で書いてくれているので、見逃さないで欲しいです。7a+b=8,16,24を構成するためにはaとbが同じになる必要があるので、これらは除外される必要があります。なので答えは、9-3=6個です。



    【第5問】(図形の性質)

    最初の辺の比を求める問題は、チェバの定理やメネラオスの定理を素直に使うだけの問題です。面積比の問題は、面積比=底辺比の原理を駆使して△CDGと△BFGがそれぞれ△ABCに対してどれだけの比になっているかを計算すればOK。

    次のABの長さを求める問題ですが、「B,D,F,Gが同一平面上にある」という新たに付加された条件を見た段階で「ピカーン!方べきの定理だっ!(>_<)」と思いつけたら、勝ち組ですねー。思いつけなかったら、負け組です…( ;∀;)

    AB=xとすると、先に求めた辺の比から、AG=x/2。更に、与えられたFD=1という条件と先に求めた辺の比から、AF=8、AD=9であることがわかります。ここで方べきの定理により、AB・AG=AD・AFが成り立つので、それぞれ代入してみると、x・x/2=8・9という2次方程式が得られます。xが正であることに注意してこの2次方程式を解くと、x=12であることがわかります。

    次のAE・ACを求める問題は、AE=3√7が与えられており、更に問題で与えられている内分比の条件からAC=(8/7)AE=(24/7)√7とわかるので、それらの掛け算をするだけですね。

    最後の∠AEGと等しい角を選ぶ問題はムズかしい!…というより、気づきにくいと思います。気づいちゃうと、あっけないんですが。

    先の問題でAB=12、AG=6が求められていることを前提にして、△AEGと△ABCに注目します。
    共通角なので、∠EAG=∠BAC…①
    AE:AB=3√7:12=√7:4…②
    AG:AC=6:(24/7)√7=1:4/√7=√7:4…③
    ①、②、③より、2組の辺の比とその間の角が等しいので、△AEG∽△ABC。対応する角が等しいので、∠AEG=∠ABCが答えになります。

    「気づくか、ヴォケ!ヽ(`Д´#)ノ 」って感じた、そこの君!僕も同感です。気づくのにかなり時間がかかりました…(*_*;



    いかがだったでしょうか?簡略な説明と銘打った割には、長く書いてしまった…

    「数学Ⅱ・数学B」の解説は、次回に行いますね。




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