廃藩置県の後、華族制度(近代日本の貴族制度)が誕生して、仙台伊達家は伯爵になりました。めでたい!…と言っていいかどうかは微妙です。華族制度の爵位は公侯伯子男の五段階あって、旧大名家の爵位は、基本的には江戸時代の石高に基づいて決定されましたが、その基準に従えば仙台伊達家の爵位は、二番目の侯爵のはずだった。しかし三番目の伯爵にしかなれなかったのは、奥羽越列藩同盟の盟主になって減封されたことの影響でした。侯爵に昇格させてもらうための働きかけなんかもしたりしたらしいですが、その願いが叶う前に終戦となり、華族制度の廃止を迎えることになりました。
しかし、仙台伊達家自体は現在も存在しています。今の当主は伊達泰宗氏で、伊達家の伝統文化の保存と普及に努める伊達家伯記念會の会長をやっておられます。その伊達家伯記念會のサイトの中に『
「竹に雀」家紋の管理』と題するページがあるのです。そのページには、こんなことが書かれています。
伊達家家紋「竹に雀」紋(類似図形を含む)は、商標登録されております。「竹に雀」紋(類似図形を含む)の使用を希望される場合は、個人、団体に限らず、下記の通り、申請の手続きをとられますようお願いいたします。
1年間伊達家家紋使用料 10,000~50,000円(消費税別)
事務手続き料 4,000円(消費税別)
伊達家の家紋は、子孫によって商標登録されてしまっていたのですな。日清シスコは使用料を払うのが嫌で、伊達家の家紋を使うことを断念した…ということかと推察されます。もっとも別の可能性も考えられます。この「竹に雀」という家紋の実際の形は、
伊達家伯記念會のトップページを見て頂くとよくわかると思うのですが、すっごい細かい意匠なんです。ビスケットにしたら、とても正確な再現はできませんよね。そのことを泰宗氏が嫌ったのかもしれない。
真相を知っているのは、伊達家伯記念會と日清シスコだけなんでしょうけど。
続きは次回に。